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IPv4とIPv6とは?インターネットの根幹を支えるプロトコルを徹底解説

インターネットを利用していると、「IPv4」や「IPv6」という言葉を耳にすることがあります。これらはネットワークにおいて非常に重要な役割を担うプロトコルであり、インターネットに接続するあらゆるデバイスが利用する“住所”のようなものです。特にIPv4のアドレスが不足し始めたことを受け、IPv6への移行が必要だという話題を目にすることが増えているのではないでしょうか。

本記事では、IPv4とIPv6がそれぞれどのようなものか、どのように異なり、なぜIPv6への移行が叫ばれるのかについて丁寧に解説していきます。インターネットの仕組みをしっかり理解しておくことは、個人や企業にとって非常に重要です。より深い知識を得ることで、ネットワークに対する不安やトラブル対応への理解が深まり、業務効率の向上にも繋がります。ぜひ最後までご覧いただき、IPv4とIPv6の本質を把握してみてください。

目次

IPv4とは?

IPv4(Internet Protocol version 4)とは、インターネットプロトコルのバージョン4を指します。現在、インターネットで最も広く利用されているプロトコルであり、「IPアドレス」の仕組みを定義している重要な要素です。インターネット上の通信は、送信元と宛先のIPアドレスを使ってデータをやり取りします。このIPアドレスを設定・管理するプロトコルとして、IPv4は長年にわたって世界的に利用されてきました。

IPv4アドレスは32ビットの長さを持ち、通常は「ドット区切り10進数表記」で表されます。例えば「192.168.0.1」のように4つのセクションに分割して表現し、各セクションは0~255の10進数値です。この形式を見慣れている方は多いでしょう。32ビットというビット長は理論上232個(約43億)のアドレスを提供することが可能です。

インターネットが急速に普及し始めた当初、43億という数は十分に大きな数だと考えられていました。しかし、インターネットは爆発的に普及し、スマートフォンやIoT機器が増加すると、43億では足りないという状況に至りました。そこで浮上したのが「IPv4アドレス枯渇問題」です。

企業や家庭などで利用される機器が増えれば増えるほど、新たなIPアドレスが必要になります。しかしIPv4の在庫は既にほとんどなく、新規に大幅な割り当てをすることが困難になっています。実際、アジア太平洋地域を管轄するAPNIC(Asia Pacific Network Information Centre)などのレジストリは、IPv4アドレスの在庫が限界に近い状態です。

この問題を回避するために、ほとんどの環境ではNAT(Network Address Translation)という技術が導入されてきました。NATを利用すると、グローバルIPアドレスを節約しながら、複数のプライベートIPアドレスをインターネットに接続できます。例えば家庭やオフィスのネットワークでは、ルーターが1つのグローバルIPアドレスを持ち、内部ネットワークの複数のデバイスはプライベートIPアドレスを使ってルーターを介してインターネットにアクセスする仕組みです。ただし、これはあくまでも応急処置であり、IPv4アドレスの根本的な不足解消とはなりません。

IPv4には他にも特徴があり、クラスフルアドレッシングやサブネットマスクの考え方などをもとにネットワークが構成されてきました。サブネットマスクを活用することで、ネットワーク部とホスト部を切り分けたり、より柔軟なIPアドレスの運用が可能になっています。IPv4の世界では、サブネットを設計してアドレスを効率的に使用し、経路情報を整理することでネットワーク管理を行います。

IPv4アドレスのクラスとCIDR

昔はクラスA、クラスB、クラスCといった区分が一般的に用いられ、クラスAなら先頭ビットが0でネットワーク部が8ビット、クラスBなら先頭ビットが10でネットワーク部が16ビット、クラスCなら先頭ビットが110でネットワーク部が24ビット、などの決まりがありました。しかし、現在はCIDR(Classless Inter-Domain Routing)が主流となり、クラスに依存せずに柔軟にネットワークを分割できるようになっています。IPv4でのCIDRの導入によって、アドレスの割り当てやルーティングがより効率化し、従来のクラスフルアドレッシングの限界を補う形で運用されています。

IPv6とは?

IPv6(Internet Protocol version 6)とは、IPv4の後継プロトコルとして策定された新しいインターネットプロトコルです。最大の特徴はアドレス空間が大幅に拡張されている点で、IPv4が32ビットであったのに対し、IPv6は128ビットのアドレス空間を持ちます。128ビットというのは実に2128個、数に換算すると膨大過ぎるほどのアドレスを提供します。理論上では地球上のすべての砂粒一つひとつに対してもユニークなアドレスが割り振れるとも言われます。

IPv4アドレス枯渇問題の対策として登場したのがIPv6であり、現在も世界各国でIPv6への移行が推奨されています。とはいえ、IPv4が根強く残っており、完全移行にはまだ時間がかかるのが実情です。多くのネットワーク機器やソフトウェアがIPv4に対応することを前提として開発されてきたため、IPv6のみで運用しようとすると互換性の問題や環境整備が必要になるからです。結果として、デュアルスタック(IPv4とIPv6を同時に利用)という運用形態が多く採用されています。

IPv6アドレスの表記

IPv6アドレスは、通常16ビットごとに区切って16進数で表記し、それらをコロン(:)で区切ります。例を挙げると、2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334のように表されるのが一般的です。0が連続する箇所は::という省略形で表記することができるため、2001:0db8:85a3::8a2e:0370:7334という風に短く書かれる場合もあります。

IPv4のように点で区切って10進数表記するのとは異なり、初めて見る方にとっては読みづらいかもしれません。しかし慣れてしまえば、サブネットの識別子(ネットワークプレフィックス)の長さを表すために「/64」のようなCIDR表記を使う点はIPv4と共通であり、ネットワークとホスト部分を分割する考え方も基本的には同じです。

IPv6のメリット

IPv6には、アドレスが潤沢になるという点以外にも多くのメリットがあります。例えば、IPsec(IP Security)を標準機能として統合しており、セキュリティ面の向上が期待できます。また、NATに頼らずエンドツーエンドの通信を確立しやすくなることも大きな利点です。IPv4でNATを多用している環境では、外部から特定のデバイスを直接指定して通信を行うのが難しいケースが多々ありますが、IPv6ではグローバルにユニークなアドレスをデバイスが直接持てるため、P2P通信などがより容易になります。

さらに、IPv6はアドレスの自動設定機能(SLAAC: Stateless Address Autoconfiguration)を備えています。これにより、DHCPサーバを設定しなくともホストが自分でIPv6アドレスを設定できる仕組みを提供しています。もちろんDHCPv6を利用することも可能なので、柔軟に運用方針を選べます。

ただし、IPv6が持つエンドツーエンドの通信のしやすさはメリットである反面、セキュリティ的には注意が必要です。NATという“疑似的なファイアウォール”がなくなる分、直接デバイスにアクセスが来る場合があるため、適切なファイアウォール設定やアクセス制限を行うことが求められます。

IPv4とIPv6の主な違い

では、IPv4とIPv6では具体的にどのような違いがあるのでしょうか。主なポイントを挙げてみましょう。

  • アドレス長
    IPv4は32ビット、IPv6は128ビットと大きく異なります。IPv6のアドレス空間は非常に広大で、IPv4の枯渇問題を根本的に解決します。
  • 表記方法
    IPv4は「xxx.xxx.xxx.xxx」というドット区切り10進数表記、IPv6は「xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx:xxxx」というコロン区切り16進数表記が基本です。
  • アドレス自動設定
    IPv6にはSLAACなどの機能が標準で備わっており、ホストが独自にアドレスを自動的に構成できます。IPv4では主にDHCPを利用して自動設定を行います。
  • NATの必要性
    IPv4はアドレス枯渇への対応としてNATが頻繁に使われていますが、IPv6はアドレス空間が潤沢なため、NATを使用しなくとも機器が直接グローバルIPを持つことが前提とされます。
  • セキュリティ
    IPv6ではIPsecが標準機能として組み込まれており、よりセキュアな通信が期待されます。ただし、実際にはIPv4でもIPsecを利用できますし、IPv6であっても設定が必要です。標準でサポートされているという点がIPv4との大きな違いです。

なぜIPv6への移行が進まないのか?

IPv6は次世代のプロトコルとして高い利点を持ちますが、なぜ一気に移行が進まないのでしょうか。実際、世界規模で見るとIPv6の普及率は徐々に上昇しているものの、まだIPv4が主流を占めています。その理由には以下のようなものがあります。

  • 既存インフラとの互換性
    長年にわたってIPv4が使われてきたため、企業や個人のネットワーク機器・ソフトウェアはIPv4対応が前提です。IPv6への完全移行には、機器のアップグレードや対応ソフトウェアの導入が必要になり、多大なコストが発生します。
  • NAT環境での継続運用
    アドレスが不足していてもNATを用いればある程度運用が継続できるため、IPv4のままでも大きな問題なく使えてしまうケースがあります。新たにIPv6への対応を行わなくともNATで“やり過ごす”ことが可能です。
  • 運用者側の知識不足
    IPv4しか知らないエンジニアも多く、IPv6に対する知識・経験不足が障壁となっています。IPv6での運用設計やアドレスプランニング、セキュリティ設計など、新しい概念や設定手順を習得する必要があります。
  • サポートの温度差
    プロバイダやホスティング事業者によってはIPv6への対応に積極的なところもあれば、対応が遅れているところもあります。利用しているプロバイダやサービスでIPv6がサポートされていない場合、ユーザー側で対応を進めるのは難しくなります。

デュアルスタックとは?

IPv4とIPv6が混在する現在のインターネット環境において、多くのサイトやネットワークでは「デュアルスタック(Dual Stack)」という方式が採用されています。これは、同じ機器がIPv4とIPv6の両方のアドレスを持ち、両方のプロトコルを並行して扱う形態を指します。

デュアルスタックを導入すると、IPv4しか使えない機器とも通信でき、IPv6が利用可能な環境同士であればIPv6で直接やり取りを行えるようになります。移行期においては非常に有効な手段であり、既存のIPv4リソースを活かしつつ、段階的にIPv6を普及させていく上で大きな役割を果たします。

ただし、デュアルスタック環境を運用するには、IPv4とIPv6の両方の設定やモニタリングが必要になるため、運用コストや管理工数は増加します。とはいえ、いきなりIPv6オンリーへ切り替えるのはリスクが大きいため、デュアルスタックで徐々に対応していくのが現実的です。

IPv6への移行技術

デュアルスタック以外にも、IPv6への移行をスムーズにするための技術や手法がいくつか存在します。以下では代表的な手法をご紹介します。

トンネリング

IPv6トンネリングは、既存のIPv4ネットワークを介してIPv6パケットを送受信する仕組みです。プロバイダや企業ネットワークがIPv4メインであっても、トンネルを用いてIPv6のパケットをカプセル化し、IPv4インフラを通過させることができます。例えば、6to4やTeredo、ISATAPなどのプロトコルが存在しますが、近年はIPv6対応が進んだこともあり、あまり一般的ではなくなってきました。

NAT64/DNS64

NAT64は、IPv6のみのネットワークからIPv4サーバへアクセスするための変換技術です。DNS64は、IPv4アドレスしか登録されていないDNSレコード(Aレコード)に対して、擬似的にAAAAレコード(IPv6アドレス)を生成し、NAT64を通してIPv4リソースへアクセスできるようにする仕組みです。IPv6オンリーの環境でも、従来のIPv4コンテンツにアクセス可能になるため、デュアルスタック環境が整備できない場合に有用です。

DS-Lite

DS-Lite(Dual-Stack Lite)は、IPv6のネットワークを利用しながら、IPv4インターネットにもアクセスできるようにする技術です。家庭のルーターなどにプライベートIPv4アドレスを割り当て、プロバイダ側のAFTR(Address Family Transition Router)でNAT44を行うことで、IPv6接続でありながらIPv4の通信も可能にします。日本の一部ISPではDS-Liteが導入されており、実質的にデュアルスタックを提供しているような状態を作り出しています。

IPv6導入で期待できる効果

IPv6の導入によって期待できる効果は多岐にわたります。以下にいくつかのメリットを改めて整理します。

  • グローバルIPアドレスの枯渇問題解消
    IPv4では残りわずかなアドレス在庫もいつ完全に枯渇してもおかしくない状況ですが、IPv6の巨大なアドレス空間を利用すれば、こうした枯渇問題を解決できます。
  • NATの縮小による通信効率向上
    NATの多段化やポート番号管理の複雑化が不要になり、通信経路がシンプルになります。その結果、エンドツーエンドの通信がしやすくなり、P2Pアプリケーションやオンラインゲーム、リモートアクセスなどの利用形態にもメリットがあります。
  • セキュリティ機能の強化
    IPsecの実装が標準化されているため、通信の暗号化と認証を容易に導入できます。ただし、実際の運用では適切な設定が必要です。
  • IoT時代への対応
    スマート家電や各種センサーなど、あらゆるものがインターネットに繋がるIoT時代では、大量のIPアドレスが必要です。IPv6なら各デバイスが一意のアドレスを持てるため、管理やアクセスが容易になります。

運用者・エンジニアが押さえておきたいポイント

IPv6を導入する際、あるいはIPv4との併用を続ける際、運用者やエンジニアが押さえておきたいポイントがあります。

  • ファイアウォールとセキュリティポリシーの再設計
    IPv4でNAT越しに隠れていたホストが、IPv6では直接グローバルアドレスを持つ可能性があります。従来のNAT頼みのセキュリティでは不十分になるため、パケットフィルタリングやアクセス制御リスト、ファイアウォールの設定などを改めて見直す必要があります。
  • アドレス設計と管理
    IPv6は巨大なアドレス空間を持つため、単純に割り当て可能とはいえども、運用しやすいようにサブネット設計をしっかりと行う必要があります。慣れない16進数表記や/64の固定的なサブネット境界など、IPv4とは異なるルールも把握しましょう。
  • DNSの設定とゾーン運用
    IPv6のAAAAレコードの登録や、逆引きゾーンの管理など、DNSにおいてもIPv4とIPv6の両方を意識した設定が求められます。運用上はデュアルスタック環境でAAAAとAレコードを両方管理することが一般的です。
  • デバイスやサービスの対応状況
    古い機器ではIPv6に対応していない、あるいは対応が不完全な場合があります。サービス提供元も含め、IPv6対応可否をチェックしないと、ネットワーク全体でのスムーズな移行が難しくなります。

IPv6時代に備えるために

IPv6は将来的に必ずメインストリームとなる技術です。実際、国によっては積極的にIPv6普及に取り組んでおり、すでに大部分がIPv6を利用できる環境になっている地域もあります。日本でも主要なプロバイダやクラウド事業者はIPv6の提供を進めており、対応機器も数多く販売されています。

企業や組織においても、今からIPv6導入に向けた準備を進めることが重要です。特に新しくネットワークを構築する場合は、IPv4とIPv6の併用を前提とした設計を行っておくと、将来的に移行がスムーズになります。また、IPv6に対するトラブルシューティングの手順や運用ルールも整備しておきましょう。

以下はIPv6時代に備えるための具体的なステップの例です。

  1. 機器・ソフトウェアの対応確認
    ルーター、スイッチ、ファイアウォール、サーバOSなどがIPv6に対応しているかを調べる。
  2. プロバイダやクラウドの対応状況確認
    契約しているインターネットサービスプロバイダやホスティングサービスでIPv6が利用可能か確認する。
  3. デュアルスタック環境のテスト導入
    まずはテスト環境や一部のセグメントでデュアルスタックを導入し、通信の安定性や設定を検証する。
  4. セキュリティポリシーとファイアウォール設定の見直し
    IPv6特有のアドレス設計やエンドツーエンドの通信を踏まえ、ポリシーの穴がないかチェックする。
  5. 段階的な移行
    運用コストを抑えながら、IPv4からIPv6へ徐々に移行。完全移行が難しい場合は、当面はデュアルスタックで運用。

まとめ:IPv4とIPv6を正しく理解して将来に備えよう

本記事では、IPv4とIPv6の基本的な仕組みや特徴、そして両者の違いを詳しく解説しました。IPv4は歴史が長く、現在も多くの機器で使われている標準的なプロトコルですが、そのアドレス空間が枯渇しつつある問題を抱えています。一方、IPv6は大容量のアドレス空間を備え、NATの依存度を下げることでエンドツーエンドの通信を実現しやすくするなど、次世代のインターネットプロトコルとして欠かせない存在です。

しかし、IPv6への移行には互換性やコスト、技術面の課題などがあり、世界的に見ても移行は段階的に進んでいるのが現状です。そのため、多くのネットワークではデュアルスタックを利用し、IPv4とIPv6の共存体制を整えています。企業や個人であっても、いずれIPv6への対応が必要になる可能性が高いため、今から知識を深めておくことが重要です。

IPv6への対応は単なる「アドレスの拡張」にとどまりません。セキュリティポリシーやアクセス制御の考え方にも変化が求められるため、運用者やエンジニアにとっては大きな学習機会でもあります。ネットワーク設計やクラウドインフラ、セキュリティ対策などとあわせて学び、次世代のインターネット環境において確固たる基盤を築けるようにしておきましょう。

今後ますます増加するIoTデバイスやスマート家電、自動車などのネットワーク接続を支えるためにも、IPv6の知識と運用経験は必須のものとなっていきます。ぜひこの機会に、IPv4とIPv6の違いや共存方法をしっかりと理解し、インターネットの未来を支えるテクノロジーの基礎を身につけてみてください。

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この記事を書いた人

SESで常駐しているサーバーエンジニアの普通の会社員
物理サーバーの導入、仮想基盤サーバーの導入、クラウド環境の導入作業等を設計から行っています。
趣味はゲームと漫画・アニメ
最近の口癖は時間がほしい。
最近はプログラミングもやりたいなぁと思い、独学で少しずつ勉強中。

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